ずっと大好きだよ
「綾瀬さんって美人だよな」
「あーわかる。巨乳なのもいい。揉みくだしてえ」
自分の名前が聞こえて前を見るとクラスメイトの男子2人がこちらを見ていたらしく、目が合った。
いつも通り、完璧に近い笑顔を向けると2人がすぐに顔を背ける。もう耳が赤く染まってるんだから分かりやすいなあ。
「、、、ワンチャン聞こえてた説?」
「、、、いや。だとしたら流石の綾瀬さんも怒るだろ。」
「、、、だよな。」
残念ながらその考察は外れてるけど、聞こえてないふりをする。
こんなやつらにかかずりあいたくもないし。
「花音(かのん)、おはよー!」
教室のドアから天使のような声が耳に入ってくる。
私は叫びたいのを我慢していつものように上品に答える。
「おはよう、茉那。」
ゆるくフワフワにまかれたブロンドのショートヘアにぱっちりとした二重。
ああ、いますぐ家の地下室にでも閉じ込めて私の物にしてしまいたい。
「あれ、茉那、、、なんかあった?」茉那の髪にはオシャレなピンク色のピンがついていた。
それは自分の誕生日やお祭りなど特別な時にだけ茉那がつけてくるものだったからすぐに気づいた。
今日はイベントなんて何もないのに。
「ああ、えっとねえ、、、。」
もじもじしながら上目遣いでこちらを見られると理性が壊れそうになる。
「なに?」私が聞きなおすと顔がゆっくりと桃色に染まっていく。ああ、嫌な予感がする。
「内緒だよ?あのね、私、2組の工藤君から告白されて付き合うことになったの。花音はするどいなあ」
頭を鈍器でたたきつけられたような衝撃が走る。
「そうなんだ!おめでとう!」
動揺に気づかれないように大げさなくらいに喜んで見せる。
「あ、、、私、お手洗いいって来るね。後でその話、詳しく聞かせてね」
「うん!またねー!」
茉那と別れてからすぐに私はトイレの方向にある2組に向かった。
工藤君、、、とやらは誰だろう。あまり人には興味がないので顔が分からない。
どうしようと困っていると後ろから頭をわしゃわしゃされる。
「誰?」くるりと振り向くとそこには幼馴染の藤谷香(ふじやこう)が立っていた。
「誰かさがしてんのか?」ああ、そういえば香は2組だったっけ。なら話が早い。
「えっと、藤谷君は、工藤君って人、誰かわかる?」上目遣いで藤谷を見れば超イージー。
すぐに顔を赤くしてしまう。相変わらず乙女だねえ、君は。
「あ、ああ、アイツだよ。あのセンター分けで女子に囲まれてる奴。」
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