狐火


 車から降りると、一面の緑が広がっていた。

 田んぼと畑と森林、その合間を縫うように家屋が点在している。道は舗装すらされていない。


 このスペースシャトルが飛ぶ時代にこんな田舎があることが信じられないが、私は夏休みの十日間をこの村で過ごすことになる。


 お盆休みにおばあちゃん家に帰省、とかならまだ良かったものの、私がこの村に送り込まれたのはそんなよくある理由じゃない。
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