狐火
 車を運転する叔父とは特に話すこともなく、私はヤコにもらった人形をもてあそんでいた。

 羽が生えた女の子の人形。何かのアニメキャラクターらしい。

 でもよく見るとそんなに可愛くない。


 私は溜め息を吐いて人形を仕舞い、遠くに見える柔らかい緑の山々に目を移した。


 ヤコに出会ったことも、あの丘で話したことも、まるで獣に化かされたように一瞬の出来事だった。
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