狐火
「さてと、荷物はこれで全部かな。さすがに今日はなずなの面倒は見なくていいよ」
なずなちゃんというのは七歳になる従姉妹。
私がここに連れてこられた元凶でもある。
遊びたい盛りの七歳児はどんなものかと身構えていたが、なずなは叔母の後ろに隠れるようにしてこっちを見ているだけだ。相当な人見知りらしい。
「そうだ、香織ちゃんはまだ全然家から出てなかったよね? 夕飯までまだ結構時間あるし、その辺散歩でもして来たら?」
「でも暑いし……」
「日が落ちてるから涼しいよ」
確かにもう日は傾いてきているが、あの蝉どもが鳴き喚く外に出るのは気が引ける。
「でもなあ……」
「いいじゃない。自然に触れる良い機会だよ。都会にはこんな所まずないでしょ」
「いや、うちもそんな都会ってわけじゃ……」
「川の方には行かないでね。ご飯時になったら電話するよ。はい、いってらっしゃーい」
勝手に話を進めた叔母は、上機嫌で私を家から追い出した。
なずなちゃんというのは七歳になる従姉妹。
私がここに連れてこられた元凶でもある。
遊びたい盛りの七歳児はどんなものかと身構えていたが、なずなは叔母の後ろに隠れるようにしてこっちを見ているだけだ。相当な人見知りらしい。
「そうだ、香織ちゃんはまだ全然家から出てなかったよね? 夕飯までまだ結構時間あるし、その辺散歩でもして来たら?」
「でも暑いし……」
「日が落ちてるから涼しいよ」
確かにもう日は傾いてきているが、あの蝉どもが鳴き喚く外に出るのは気が引ける。
「でもなあ……」
「いいじゃない。自然に触れる良い機会だよ。都会にはこんな所まずないでしょ」
「いや、うちもそんな都会ってわけじゃ……」
「川の方には行かないでね。ご飯時になったら電話するよ。はい、いってらっしゃーい」
勝手に話を進めた叔母は、上機嫌で私を家から追い出した。