私たち幸せに離婚しましょう――契約結婚のはずが、エリート脳外科医の溺愛が止まらない――

 

 慌ただしく年が明けた。

「考えてみれば半年ぶりか」

 信号が青に変わり、車が走り出す。

 向かう先は沙月の実家。正月の挨拶に行く。

「忙しさにかまけて申し訳ない」

 運転席の主真を振り向いた沙月は、端正な横顔に一瞬心を奪われハッとして視線を泳がせた。

「いえ、全然気にしないでください。うちの家族とは病院で顔を合わせてますから」

 昨日は二人揃って主真の実家に行ったが、どちらの実家も前回行ったのはお盆休みなので、半年ぶりなのは同じである。

 青葉の家族はとても歓迎してくれた。

 主真の母は気さくで優しいし、父は寡黙で怖そうだけれど、ふとした瞬間に見せる柔らかい微笑みに心の温かさが滲み出るようだった。

『沙月ちゃんだけでもたまにはいらっしゃいな』

 そう言ってもらえたのはうれしかった。

 普通の結婚ならばもう少しまめに訪問したと思う。母の日、父の日。行こうと思えば理由は付けられるし、もっと積極的になれたと思う。

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