私たち幸せに離婚しましょう――契約結婚のはずが、エリート脳外科医の溺愛が止まらない――
いつかは訪問着を買いたいと思ってはいるが、今の沙月にそんな気持ちの余裕はなかった。
それだけだ。沙月は着物が嫌いなわけじゃない。
「ねぇ主真さん、そう思いませんか? 着物っていいですよね?」
上目遣いに美華が主真を窺うが。
主真は沙月を振り向き「俺が急がせちゃったから、ごめんな」と言った。
「いいえ」
ふるふると首を横に振る沙月に、主真はにっこりと微笑みかける。
急がされてなんていないのに、彼はかばってくれたのだ。
チラリと美華を見れば、彼女は不満そうに唇を歪める。
「ふたりともいらっしゃい」
笑顔とともに沙月の父が現れると、和やかな空気に包まれた。
「あけましておめでとうございます」
主真が最初に頭を下げて挨拶をし、正月の会食が和やかな雰囲気の中スタートする。
「美華、手伝ってちょうだい」
「はーい」
今年の正月も家政婦は休みらしい。
沙月も席を立った。
「いいのよ。あなたはお嫁にいったんだから」
それだけだ。沙月は着物が嫌いなわけじゃない。
「ねぇ主真さん、そう思いませんか? 着物っていいですよね?」
上目遣いに美華が主真を窺うが。
主真は沙月を振り向き「俺が急がせちゃったから、ごめんな」と言った。
「いいえ」
ふるふると首を横に振る沙月に、主真はにっこりと微笑みかける。
急がされてなんていないのに、彼はかばってくれたのだ。
チラリと美華を見れば、彼女は不満そうに唇を歪める。
「ふたりともいらっしゃい」
笑顔とともに沙月の父が現れると、和やかな空気に包まれた。
「あけましておめでとうございます」
主真が最初に頭を下げて挨拶をし、正月の会食が和やかな雰囲気の中スタートする。
「美華、手伝ってちょうだい」
「はーい」
今年の正月も家政婦は休みらしい。
沙月も席を立った。
「いいのよ。あなたはお嫁にいったんだから」