私たち幸せに離婚しましょう――契約結婚のはずが、エリート脳外科医の溺愛が止まらない――
 夕焼けのような色のシルクのワンピースは、クリスマスのプレゼントだと主真が買ってくれた。エレガントなシルエットのとても素敵なハイブランドのワンピースである。

 ネックレスも彼が買ってくれたお気に入り。今日は華やかになるように揺れるイヤリングまでしてきた。

 もちろん決して恥ずかしくない服装だ。

 華子もわかっているはずだが、ただ文句が言いたいだけなのだ。たとえ着物を着てきても貶してくるに違いない。

 言い返したところで得るものはない。いつもは曖昧にやり過ごすところだが、主真まで侮辱されたような気がして黙っていられなかった。

「このワンピースは主真さんが買ってくださったんです」

 高級ブランド名も告げる。

 途端に継母の眉がピクリと動く。

「また口答え? お前は本当に」

「へえ、お姉さんまた主真さんのせいにしちゃうんだー。着物を着れなかったのも主真さんのせい、ワンピースがみすぼらしいのも主真さんのせい。主真さん、かわいそー」

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