私たち幸せに離婚しましょう――契約結婚のはずが、エリート脳外科医の溺愛が止まらない――


 今日の朝食は、鯵の開きとインゲンの胡麻和え。そして味噌汁の具は、ほうれん草と油揚げに、白和えと温泉卵。

「いただきます」と手を合わせて、沙月は向かいの席に座る主真の様子を窺った。

 キリッとした眉毛。切れ長の目を縁取る長い睫毛に、すうっと通った鼻筋。まるで彫刻のように整った顔を歪めるわけでもなく、彼は箸を進める。

 寡黙な彼は、黙々と食事をするだけだ。

 洋食と和食どちらがいいかと聞いたとき、彼はできれば和食でと答えた。

 好き嫌いは特にないと聞いたので自由に作っているが、美味いとか不味いとか、感想を口にするわけではないので、どう思っているかはわからない。

 彼はいつも味噌汁から食べ始める。

 朝の汁物は必需品なのか、夏場の暑い時に熱い味噌汁もどうかと思い聞いてみたところ、『できれば飲みたい』と言ったのだから好きなのだろう。

 三つ葉と卵のお吸い物のときもいつもどおり最初に手をつけたから、味噌汁に限らず汁物ならいいらしい。

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