私たち幸せに離婚しましょう――契約結婚のはずが、エリート脳外科医の溺愛が止まらない――
 MRIは脳神経外科の検査には欠かせない医療機器である。高性能であればあるほどいいには違いないが高額なため病院の負担が大きい。経営状態が良好ならまだしも、なぜ今なのか。

 朝食を取りながら主真に聞いてみた。

『主真さん、薄羽の医療機器なんですけど、MRIとかCTとか、現在の設備に不満はありますか?』

『いや、十分だと思うよ』

 ちなみにアメリカではMRI検査はとても高額なため、CTでの検査しかせずオペになることも多いと教えてくれた。

 彼はMRIについて、華子から相談されてもいないらしい。

 必要に迫られて購入するわけではないとなると、強引に推し進める可能性が高い。

(なんとしても阻止せなけば)

 理事長室の前に立ち止まり、大きく息を吸う。

 負けないようにと拳を握り気合を入れる。これもまた、ある意味ルーティーンだなと苦笑した。

「失礼します」

 ノックをして入ると、華子は応接用ソファーに座り、コーヒーを飲んでいた。

「なんでしょうか」

 まずは用件を聞いた。
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