私たち幸せに離婚しましょう――契約結婚のはずが、エリート脳外科医の溺愛が止まらない――
先週、外来のある一階で、たまたま守山と沙月が話をしているのを見かけた。
沙月が柔らかい笑顔で彼に打ち解けて話す様子に目を惹かれ、なんとなく見つめながら歩いていると、華子に呼び止められた。
『ごめんなさいね主真さん。沙月はあの調子で、軽いというかなんというか』
華子は呆れたように顔をしかめ、大きな溜め息をついた。
いったいどこから現れて、いきなりなにを言い出すのかと訝しむと、彼女はにやりと片方の口角をあげ、ひそひそと囁いたのだ。
『あの子、守山先生とも結婚の話があったんですのよ』
予想外の話に一瞬ハッとしたが、すぐに気を取り直した。
『そうですか』
『同じ職場で恋愛なんてみっともないでしょう? だから私がやめさせたんですの』
沙月と守山が交際でもしていたかのような言い方である。
本当にそうだとして、『なぜそれを俺に?』ときつく言い返したいところを飲み込んだ。
継母とはいえ沙月の親であるし、彼女と揉めて困るのは沙月だ。
沙月が柔らかい笑顔で彼に打ち解けて話す様子に目を惹かれ、なんとなく見つめながら歩いていると、華子に呼び止められた。
『ごめんなさいね主真さん。沙月はあの調子で、軽いというかなんというか』
華子は呆れたように顔をしかめ、大きな溜め息をついた。
いったいどこから現れて、いきなりなにを言い出すのかと訝しむと、彼女はにやりと片方の口角をあげ、ひそひそと囁いたのだ。
『あの子、守山先生とも結婚の話があったんですのよ』
予想外の話に一瞬ハッとしたが、すぐに気を取り直した。
『そうですか』
『同じ職場で恋愛なんてみっともないでしょう? だから私がやめさせたんですの』
沙月と守山が交際でもしていたかのような言い方である。
本当にそうだとして、『なぜそれを俺に?』ときつく言い返したいところを飲み込んだ。
継母とはいえ沙月の親であるし、彼女と揉めて困るのは沙月だ。