私たち幸せに離婚しましょう――契約結婚のはずが、エリート脳外科医の溺愛が止まらない――
 二年後、彼女がどうしようとあれこれ言う資格はない。

 だが、彼が薄羽にいる理由が沙月ならば、『さっさとあきらめるんだな』と、主真は胸の奥で吐き捨てた。

(今は俺が沙月の夫だ)

 夫でいる間は、俺が沙月を守る。

 彼女を悩ませる者だけでなく、彼女を狙う男もダメだ。

 決意にも似た気持ちでそう思いながら、沙月の額にかかる髪をそっとよけて、主真はそのまま彼女の額に唇を落とした。

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