春、君と恋に落ちる
Episode7
「晴ちゃん、おかえり」


市役所から帰ってくると、彼がいるようになった。

というのもあの後…。


「えっ、早くないですか?」

「何で、離れてた期間埋めるにはこれしかなくない?晴ちゃんと一緒に住めないなら京都に来た意味ない。」


私の家のクッションを抱きしめながらいやいやと駄々を捏ねている成人男性、22歳改め今年23歳。

お気に入りのマグカップに入った暖かいお茶を冷ましながら私はその様子を見ていた。

5年ぶりに縒りを戻したはいいけど、大人になったと思った蒼くんはあの頃のように我儘を言って不貞腐れている。

可愛いです、可愛いのですが…。

付き合った時もそうだったけど、いきなり事を進めすぎて毎度私の心臓が持ちそうになくて。

付き合ってから3ヶ月学生の頃はずっとくっついてきて、心臓に悪かったし。

大人になってから余計タチ悪いのが、色々な選択肢が自分たちで取れるということ。
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