春、君と恋に落ちる
Episode8
親との縁を切って、気持ち的にも少し落ち着いてきた頃。

蒼くんが寝室から私の元に歩いてくる。


「晴ちゃん、俺達高校時代やり残したことあるよね」


蒼くんの言葉に首を傾げる。

やり残したこと…?

そりゃこんな青春があればなはいくらでも思いつくけど、やり残したと言われるほどのものではない。


「覚えてる?花火大会の夜、晴ちゃんが俺と行きたいって言ってくれた場所。」


そう言われてすぐに思い出した。

確かに言った、あの日蒼くんと


「海に行きたい、ですよね?」


って。

懐かしい思い出話を引っ張り出すと蒼くんは「正解」と笑顔を向ける。


「てことで次の休み海にドライブデートでもどう?」

「…ドライブって車もなければ、私免許も持ってませんし」

「車もあるし、免許は俺が持ってるので問題ありませんよ」


そう言って笑いかけてくる。
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