春、君と恋に落ちる
「蒼くん、好きに生きていいのよ。ごめんね、我儘言って振り回して。元々姉さん達が残してくれた大事な子を縛り付けるのも終わりにしましょう。」


叔父は納得できないのか、スッキリした表情はしていない。

蒼くんは少し一息吐いて


「食わせてきてくれたことも高校に通わせてくれたことも感謝はしてるよ。行きたくないってごねてたけど、行かなきゃこの子に会えなかった。」


素直に言葉にして立ちあがる。

こういう時、すごく大人になったと思う。

立派になって、毎日蒼くんを好きになる。

高校生の時だってたまらなく好きだったのに、その時から思いが止まらないまま。


「行こ、晴ちゃん」


そう言って私の手を繋いで引く。

振り返らない蒼くんの代わりに軽く会釈して後ろをついていく。
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