春、君と恋に落ちる
Prologue
『新入生の皆さん、初めまして。生徒会長の桜木《さくらぎ》 晴《はる》です』
マイク越しに体育館に声を響かせるのは、私。
説明の通り生徒会長の桜木 晴。
今日、高校2年生になった。
3年生の生徒会長が1年に後継者譲るのも新しくて面白いんじゃない?と言った提案で当時1年から居た私を生徒会長に指名した。
今日は入学式で、代表として、生徒会長として一年生全員の前で挨拶をしていた。
こういうの本当はすごく苦手だ。
生徒会に入っているのも一つの事情で、生徒会長を受けたのもある人のため。
ここに自分の意志なんて無い。
考えていた挨拶を止まることなく話続けていると、入口あたりが騒がしくなる。
先生と言い合いしている1人の生徒が目に入り、そちらを見ながらも暗記した言葉を発し続けた。
「(何あれ。)」
混乱を招いてはいけないと思い止めなかったけど、内心ものすごく動揺していた。
黒髪の長い前髪の隙間から黒い目を覗かせてこちらを見ている。
綺麗な顔をしていて、酷く冷たい目。
綺麗だけど、怖い。
その男子生徒と私は少しの時間見つめ合う。
まるでこの空間に二人きりのように。
よく見ればピアスも空いていて学ランのボタンは閉められることなく中のワイシャツが見えている。
そして、頬には1発殴られた後のような物が見える。
入学初日からあんな風に素行が悪い人は初めて見た。
いまだ彼から目が逸らせなくて、目が合ったままだった。
彼は先生たちに抑えられてるけど。
動じることもビクリとすることもなくその男子高校生もこちらをじーっと見ている。
何この状況。
春、私と彼の初めてのおかしな出会いだった。
マイク越しに体育館に声を響かせるのは、私。
説明の通り生徒会長の桜木 晴。
今日、高校2年生になった。
3年生の生徒会長が1年に後継者譲るのも新しくて面白いんじゃない?と言った提案で当時1年から居た私を生徒会長に指名した。
今日は入学式で、代表として、生徒会長として一年生全員の前で挨拶をしていた。
こういうの本当はすごく苦手だ。
生徒会に入っているのも一つの事情で、生徒会長を受けたのもある人のため。
ここに自分の意志なんて無い。
考えていた挨拶を止まることなく話続けていると、入口あたりが騒がしくなる。
先生と言い合いしている1人の生徒が目に入り、そちらを見ながらも暗記した言葉を発し続けた。
「(何あれ。)」
混乱を招いてはいけないと思い止めなかったけど、内心ものすごく動揺していた。
黒髪の長い前髪の隙間から黒い目を覗かせてこちらを見ている。
綺麗な顔をしていて、酷く冷たい目。
綺麗だけど、怖い。
その男子生徒と私は少しの時間見つめ合う。
まるでこの空間に二人きりのように。
よく見ればピアスも空いていて学ランのボタンは閉められることなく中のワイシャツが見えている。
そして、頬には1発殴られた後のような物が見える。
入学初日からあんな風に素行が悪い人は初めて見た。
いまだ彼から目が逸らせなくて、目が合ったままだった。
彼は先生たちに抑えられてるけど。
動じることもビクリとすることもなくその男子高校生もこちらをじーっと見ている。
何この状況。
春、私と彼の初めてのおかしな出会いだった。