春、君と恋に落ちる
「桜木、お疲れ。大変だったね」


入学式の後3年の副会長、結城《ゆうき》 涼《りょう》先輩が話しかけてきた。

この人とももう2年目の付き合いになる。


「まさか初日からあんな生徒がいたとは」


生徒会室で一息着くと、生徒会長席に座る。

この席に座るのはまだ落ち着かないけど、ここから見える窓の外の桜が好き。

今の時期しか見えない、唯一の楽しみ。

春が1番好きだ。

陽だまりの温かさや、桜が咲く美しい瞬間も散る儚い瞬間も。

出来る事なら窓の外をずっと眺めていたいけど、やらなきゃいけない事がある。

考えるのはこれからの事と、入学式の新入生の事だった。

怖いけど、すごく綺麗な子だった。

多分私とは一生関わる事の無い人物だろうな。

そう思っていたのに、その考えはすぐに覆る事になる。
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