春、君と恋に落ちる
朝起きて毎日一緒に登校してた蒼くんが居ないのは不思議だった。

バス停がわかりやすいからって毎日バス停に行くと先に必ず蒼くんが待ってて「晴ちゃん、おはよ」とゆるい笑顔で手を振って待ってくれている。

だめだ、思い出すな。彼が来る前に戻っただけ。

鞄の中のBluetoothイヤホンを取りだして耳にはめる。

そして、お気に入りの曲をかけようとスマホに手をかける。

このイヤホンで、蒼くんと片耳ずつシェアして一緒の曲を聴いたこともあった。

まずい、思ったより蒼くんは私の生活の中に踏み込んで来ていた。

忘れようにもどの出来事にも最近は蒼くんが居て、思い出してしまう。

学校に着いてからも同じだった。

移動教室すれ違う時も、私達は他人のフリをした。

蒼くんは少し前にいつの間にかクラスの人と少し仲良くなってて、一緒にクラスメイトと歩いて移動教室に向かっている。

いつもすれ違う度誰といても「晴ちゃん」と話しかけてきていた蒼くんが私に目もくれない。
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