春、君と恋に落ちる
「好きなの?」


真剣な声で問いかけてくる結城先輩に、少しだけ驚いた。

好き…?

私が蒼くんの事を?

この感情が好き、なのだろうか。

依存かと問われたら間違いなくうんって言えるのに、好きかと問われたら分からない。

恋なんてそもそもした事がない。

だから理解できるはずがなかった。


「分かりません」


小さな声でそう呟くと、結城先輩は少しだけ笑って「そっか」と呟く。

少し間が空いた後、結城先輩はプリントの整理を止めてこちらに向く。


「じゃあ、俺がチャンスあるって思ってもいいのかな」

「…え?」


​─────好きだよ、桜木が。

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