春、君と恋に落ちる
遅くなって、蒼くんに連絡するとまだ教室にいると言うので1-Aに顔を出してみた。

いつもの見慣れたメンバーの中に蒼くんがいる。


「蒼くん」


声をかけると、顔をこちらにあげて「晴ちゃん」といつもの様に緩く笑っていた。

保育園にお迎えに来たお母さんってこんな気持ちなんだろうか。


「かいちょー!」


手を振る蒼くんの友達に手を振り返す。


「もしかしてまだかかりますか?それなら外で待ってますけど」

「ううん、もう帰る。」


そう言いながら鞄を手に持つ。


「え!?蒼!まだ解散って言ってなくね!」

「解散、じゃあな」


そう言いながら輪の中から抜けて私の方に歩いてくる。


「いいんですか?」

「晴ちゃんと帰りたいからいい。」
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