春、君と恋に落ちる
結構友達にもわがまま放題出来てるんだな。

そう思えばあの人達は蒼くんの心許せる人達なわけで、少し安心した。


「…晴ちゃんさ、あの先輩の事好き?」


あの先輩…?

そう言われて思い浮かぶのは結城先輩しか居なかった。


「え、結城先輩の事ですか?」


蒼くんは「うん、多分」と短く返事をする。

異性に対して好きかどうか考えたこと無かった。

恋をそもそもしたことがないから分からないけど、恋愛感情とは全然違う気がする。


「…どうでしょう。頼りにはすごくしてますけど、好きなのかと聞かれるとわからないです」

「俺の事は?」


蒼くんの事はもっと分からない。


「…うーん、分からないです。好きとか、そういうのは」


そうつぶやく私に、横並びで歩いていた蒼くんの目線がこちらに向く。


「じゃあ、俺が他の人と付き合っても平気なの?」
< 67 / 194 >

この作品をシェア

pagetop