春、君と恋に落ちる
蒼くんに恋人が出来る…。

恋人が出来たらこんな関係性は無くなるんだろうな。

また1人になって、心の拠り所が無くなって。


「寂しいけど、蒼くんが幸せなら?」


そう言って笑いかけても蒼くんは笑ってなんか居ない。


「…晴ちゃんの俺への気持ちってそんなもんなんだ」


聞こえてくる冷たい声に背筋が凍った。

傷付いているような怒っているようなそんな声。


「俺は、晴ちゃんが居ないと不安だよ。何で何もかも持ってるような男に晴ちゃんを渡して俺がまた1人にならなきゃいけないの。俺達2人きりでずっといればずっとひとりにならなくて済むのに。」


強い執着心と依存。

正直甘く見ていた。

私の依存なんて軽さと、蒼くんの依存は全く違う。


「晴ちゃんが他の男と付き合うなら、俺でいいじゃん。」


そう言うと私の頬に触れてそのまま顔を上げさせると、唇に柔らかいものが触れた。

また、この感触。
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