春、君と恋に落ちる
学祭も終わって後片付けに今度は追われていた。

校庭や主に外のゴミ拾いや、物品の忘れ物回収。

あの後結局蒼くんと回れることは無かった。

そもそももう私といる必要は無いから、朝の登校とかも無くなるのかも。

学祭が終わって一息着いていいはずなのに、頭の中はそんなことばっかり。

ああ、やだ。寂しい。

誰もいない裏庭でしゃがみこむ。


「…蒼くん。」


名前を呼んでも都合良く来る訳なんてない。

蒼くんとはただの友達。

私が縛る権利なんてなにもない、だからこんな感情蒼くんに伝えて良い訳がない。

このまま離れていくのが蒼くんにとっても良いかも知れない…。

分かっているのに、簡単に離れることなんてできなかった。
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