『春・夏・秋・冬~巡る季節』
《1》巡る季節
凍えるほどの寒さの中、吐き出される吐息はミルク色に変わる。
その白く濁る視界の中で、貴方は儚く微笑んだ。
『忘れ物、取ってくるよ』
そう言って私たちに背を向けた貴方。
──駄目!
霧の中に消えていくその背中を、必死になって追いかける。
──駄目!
水の中を歩くかのように、思うように進まない足。それをもどかしく思いながらも懸命に走る。
お願い、待って。
行っちゃ駄目!
行かないで!
声にならない声を上げながら手を伸ばす。
その瞬間。
パアアァァァ────ン……
無情にも響く乾いた音と、湿った灰色のコンクリートの上に倒れる、“彼”の姿。
「いやああああああ!!」
叫びながら飛び起きたそこは、自分のベッドの上で。
肩で浅い呼吸を繰り返しながら、布団を握り締めて蹲る。
また……。
私は“彼”を止められなかった。
夢の中でさえも、彼は儚く散ってゆく。
その白く濁る視界の中で、貴方は儚く微笑んだ。
『忘れ物、取ってくるよ』
そう言って私たちに背を向けた貴方。
──駄目!
霧の中に消えていくその背中を、必死になって追いかける。
──駄目!
水の中を歩くかのように、思うように進まない足。それをもどかしく思いながらも懸命に走る。
お願い、待って。
行っちゃ駄目!
行かないで!
声にならない声を上げながら手を伸ばす。
その瞬間。
パアアァァァ────ン……
無情にも響く乾いた音と、湿った灰色のコンクリートの上に倒れる、“彼”の姿。
「いやああああああ!!」
叫びながら飛び起きたそこは、自分のベッドの上で。
肩で浅い呼吸を繰り返しながら、布団を握り締めて蹲る。
また……。
私は“彼”を止められなかった。
夢の中でさえも、彼は儚く散ってゆく。
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