奪われた命、守りたい心

ある晩、春華が調べた結果、田辺総理との繋がりを示す証拠を見つけた。

春華はその情報を掴んだ瞬間、息を呑んだ。父の死が単なる偶然ではなかったことを、彼女は確信した。おそらく、田辺総理が関与しているこの事件の背後には、何か大きな秘密が隠されている。そして、その秘密を暴くことで、父の死の真相に迫ることができると感じた。

「これが証拠か……」
春華はデスクに広げた書類を見つめ、無言で震える手を抑えた。ヤクザとの繋がりが明確に記された書類は、決定的な証拠となるだろう。しかし、それを公にすることで、彼女自身も危険な立場に立たされることを理解していた。

「お父さん……私はあなたの仇を取る。それが私の仕事、そして私の生きる意味よ。」

春華は一度深呼吸をし、決意を固めた。その証拠をどう使うかが、今後の全てを決めることになる。


その夜、颯真が春華の部屋を訪れた。いつもと変わらぬ穏やかな表情を浮かべていたが、彼の目には何か深い思慮が感じられた。

「春華さん、どうしても心配で……無理をしないでほしい。今、君がどんなに強くても、危険なことに巻き込まれないようにしてほしい。」

颯真は真剣な表情で言ったが、春華はその言葉を軽く流すように微笑んだ。

「大丈夫よ、颯真さん。これ以上誰にも頼らない。私がやるべきことだから。」

颯真は言葉を飲み込むように黙り込んだ。彼の胸には、春華を守りたいという強い気持ちがあった。だが、彼女がその強い決意を示すたびに、颯真はそれを尊重し、サポートするしかなかった。

春華は、総理大臣とヤクザ組織との繋がりを示す証拠をさらに調べていくうちに、驚くべき事実を発見した。田辺総理は、ヤクザのボスと何度も会っており、裏の取引に関わっていた。ある特定の地域で起きた事件の背後には、彼が関わっていたことが浮き彫りになった。

「これが本当だとしたら、私の父は、あの事件に巻き込まれたことになる。お父さん、私はあなたの仇を取るわ。」