奪われた命、守りたい心

７．真実に迫る

春華は総理大臣とヤクザが今日会うという情報を手に入れ、それを暴く決意をさらに固めていた。この情報を使って真実を暴けば、お父さんの死の真相に近づけると確信していた。

その晩、颯真との約束があったが、春華はその夜、颯真に伝えるべきかどうか迷っていた。颯真が心配していることはわかっていたし、彼が自分を守りたがっていることも理解していた。しかし、春華の決意は揺らがなかった。

「私は必ずお父さんを守るために、真実を暴かなくてはならない」と自分に言い聞かせ、決心を新たにした。

その夜、颯真がいつものように春華の家に訪れた。二人は軽い食事を共にし、穏やかな時間を過ごしていた。しかし、春華の心はその情報に囚われていた。

「颯真さん、今日はどうだった？」春華が言葉を交わしながら、心の中で総理大臣とヤクザの会合について考えていた。

颯真は穏やかに答えた。「特に何もなかったよ。でも、どうしたんだ？何か気になることでも？」

春華はその言葉に少しだけ躊躇したが、やがて静かに答えることにした。「実は、ある情報を手に入れたの。総理大臣とヤクザが明日会うって…」

颯真はその言葉を聞いて、一瞬で表情が変わった。「それ、マジか？」
「うん、確かだと思う。でも、どうしても今動かなきゃと思って…」春華は証拠を見せながら言った。

颯真の顔が険しくなった。「春華、それは危険すぎる。そんな情報を持って、今動こうとしてるなんて、俺が止めなきゃダメだ！」
颯真は立ち上がり、激しく言った。
「お前がそんなことに巻き込まれたらどうするんだ！お父さんの死の真相を暴くために命をかけるなんて、そんなことを許せるわけがない！」


春華はその怒りに驚きながらも、再び強く反発した。「分かってるわよ。でも、もし私がこれを暴かないなら、お父さんが守りたかった世界が壊れる。お父さんが命をかけて守った真実を、私は守らなきゃいけない。」

「それでも命を捨てていいわけじゃない！」颯真は声を荒げた。

春華はその言葉に少しだけ迷いが生まれたが、すぐに冷静になった。「私の命は、私が決める。お父さんが命をかけてまで守ろうとした真実を暴くために、私はやらなくちゃいけないの。」
颯真は深いため息をつきながらも、春華の意志の強さを理解し、ただ静かに見守るしかなかった。

「分かった。でも、お前が無茶をするなら、俺は絶対に許さないからな。」颯真は目を見開いて、真剣な表情を浮かべた。

春華はその言葉に少しだけ柔らかく笑った。「ありがとう、颯真さん。でも、私はもう止まらない。」