奪われた命、守りたい心

9.エピローグ

春の柔らかな陽光が差し込む穏やかな午後。颯真と春華の家には、笑い声が絶えなかった。リビングでは、小さな赤ちゃんが颯真の腕の中で嬉しそうに笑い、春華はその様子を微笑ましく眺めていた。

「ほら、パパの顔が面白いってさ。」颯真が赤ちゃんに顔を近づけて変顔をすると、赤ちゃんは嬉しそうに手足をバタつかせた。

「颯真さん、あまりからかわないで。笑いすぎて泣いちゃうわよ。」春華は笑いながら、赤ちゃんを優しく見守った。その瞳には、家族の幸せをかみしめるような温かさがあった。

彼らのもとに訪れた奇跡のような命。それは、かつて春華が自らの命をかけて手にした未来そのものだった。過去の困難はもう遥か遠い記憶となり、今はただ、平和で穏やかな日々が続いている。

ふと、春華はリビングの棚に目を向けた。そこには父親の遺影が置かれ、その横には小さな花束と感謝の手紙が添えられていた。

「お父さん、見てるよね?私たち、本当に幸せだよ。」春華は静かに呟きながら、心の中で感謝の言葉を繰り返した。

颯真はそんな春華の様子に気づき、そっと彼女の肩に手を置いた。「お父さんも、きっと喜んでるよ。お前がこんなに幸せそうだから。」

「うん……ありがとう、颯真さん。」春華は微笑み、颯真の手に自分の手を重ねた。その手の温もりは、どんな時も彼女を支えてくれた。

赤ちゃんが可愛らしい声を上げ、二人の方をじっと見つめる。その純粋な瞳に映るのは、愛に満ちた両親の笑顔だった。

「これからも、みんなで一緒に歩んでいこうな。」颯真が赤ちゃんに語りかけるように言うと、春華はそっと頷いた。

風がそっとカーテンを揺らし、新しい季節の訪れを告げる。家族三人、手を取り合いながら歩む未来は、きっとこれからも幸せで満ち溢れているに違いない。

そして、彼らの笑顔は永遠に輝き続ける。




最後まで読んでいただきありがとうございました☆
誤字や読みにくかったところもあるかと思いますが、楽しく読んでいただけたらいいなと思います!
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