奪われた命、守りたい心
☆颯真 Side☆
「大和さん! 今回の事件、進捗ありました?」
「いや、決定的証拠はないけど、もう少しなんだよな。この後、ちょっと外回り行ってくるわ。」
「了解です。僕も何か進捗があったら連絡します。」
「おう。そういえば今度、春華の誕生日なんだよ。しっかり誕生日プレゼント買って、ロッカーに保管してるんだ。お前も一緒に祝ってくれないか?」
大和さんの顔に浮かぶ柔らかな笑み。娘を想う父親の優しさに満ちた表情に、俺は少し羨ましさすら感じた。
「ぜひ。いつなんですか?」
「今週の日曜だ。」
「了解です。予定、開けておきます。」
そう言って大和さんは外回りへ向かい、俺は彼の背中を見送った。あの背中を目にするのは、これが最後になるとは夢にも思わずに。
プルルルル――。
「はい。」
『大和だ。犯人の取引現場を見つけた。現行犯でしょっぴくぞ。』
「大和さん、1人ですか?」
『そうだ。』
「危険ですよ! 応援を待ちましょう。僕もすぐ向かいます!」
『そんなの待ってたら取り逃すぞ。とりあえず捕まえるから応援よろしくな。』
通話が切れた瞬間、嫌な予感が胸を締め付けた。急いで装備を整え、車で現場へと急行する。
現場に到着すると、薄暗い路地に響く救急車のサイレンが遠くから近づいてくる。辺りを見回していると、視界の隅に倒れた人影が目に飛び込んできた。
「大和さん!? 大和さん!!」
声を張り上げて駆け寄ると、血まみれの大和さんが横たわっていた。息はか細く、意識は朦朧としている。
「大和さん! しっかりしてください! 日曜日、春華さんの誕生日をお祝いするんでしょ? こんなところで終わっちゃダメです! 春華さん、大和さんの帰りを待ってます!」
その言葉に応えるように、大和さんが薄っすらと目を開けた。
「……春華を……頼む……。あいつのことだけが……心配だ……。プレゼント……渡してやってくれ……」
「ダメです! 生きて、自分で渡してくださいよ!」
救急車の到着を待つ間、大和さんは苦しげに呼吸を繰り返していたが、最後に「春華」とつぶやき、目を閉じた。心臓が止まる音を聞いた瞬間、俺は何もできなかった自分を責めた。
「大和さん! 今回の事件、進捗ありました?」
「いや、決定的証拠はないけど、もう少しなんだよな。この後、ちょっと外回り行ってくるわ。」
「了解です。僕も何か進捗があったら連絡します。」
「おう。そういえば今度、春華の誕生日なんだよ。しっかり誕生日プレゼント買って、ロッカーに保管してるんだ。お前も一緒に祝ってくれないか?」
大和さんの顔に浮かぶ柔らかな笑み。娘を想う父親の優しさに満ちた表情に、俺は少し羨ましさすら感じた。
「ぜひ。いつなんですか?」
「今週の日曜だ。」
「了解です。予定、開けておきます。」
そう言って大和さんは外回りへ向かい、俺は彼の背中を見送った。あの背中を目にするのは、これが最後になるとは夢にも思わずに。
プルルルル――。
「はい。」
『大和だ。犯人の取引現場を見つけた。現行犯でしょっぴくぞ。』
「大和さん、1人ですか?」
『そうだ。』
「危険ですよ! 応援を待ちましょう。僕もすぐ向かいます!」
『そんなの待ってたら取り逃すぞ。とりあえず捕まえるから応援よろしくな。』
通話が切れた瞬間、嫌な予感が胸を締め付けた。急いで装備を整え、車で現場へと急行する。
現場に到着すると、薄暗い路地に響く救急車のサイレンが遠くから近づいてくる。辺りを見回していると、視界の隅に倒れた人影が目に飛び込んできた。
「大和さん!? 大和さん!!」
声を張り上げて駆け寄ると、血まみれの大和さんが横たわっていた。息はか細く、意識は朦朧としている。
「大和さん! しっかりしてください! 日曜日、春華さんの誕生日をお祝いするんでしょ? こんなところで終わっちゃダメです! 春華さん、大和さんの帰りを待ってます!」
その言葉に応えるように、大和さんが薄っすらと目を開けた。
「……春華を……頼む……。あいつのことだけが……心配だ……。プレゼント……渡してやってくれ……」
「ダメです! 生きて、自分で渡してくださいよ!」
救急車の到着を待つ間、大和さんは苦しげに呼吸を繰り返していたが、最後に「春華」とつぶやき、目を閉じた。心臓が止まる音を聞いた瞬間、俺は何もできなかった自分を責めた。