拳から恋

わたしに声をかけてきたヤンキーくんをはじめ、順々に個々の構えに入り、


「眼鏡くんよぉ、ここは拳がものを言うんだぜ?来る学校間違えたんじゃねぇ……のっ!!」


拳を作る手に力が込められたのを見て、わたしも咄嗟にガード体勢に入った──が、


「ねぇ」



「ッ……!?」


──ん?


わたしに殴りかかろうとしたヤンキーくんは驚いたのか空中で手を止める。

声がした方に向けば、茂みの奥から金髪の頭がふらふらとして、ひょっこり顔を出した。


「……昼寝の邪魔なんだけど。よそでやってくんない?」


眠そうな目を擦り、欠伸をしながら。

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