拳から恋
誰だろ……全く気付かなかった。
──失態ね。
奴らの話を聞いていて、視野が狭くなってた。
……気を引き締めないと。
ぼんやりとだけどベージュ髪のお寝ぼけくんを認識して、またかかってくるのかと横目でヤンキーくん達を見れば……冷や汗を滲ませていた。
皆完全に足すくんでる……これは何事もなく終わる予感。
「えっあれは……」
「バカッ……!白鳥雅サンだ!」
白鳥……雅──
「ふぁーあ……」
何を怯える必要があるのか……
「い、いいか長髪眼鏡!ここは拳ッ」
「いいから行くぞ!」
ヤンキーくん達は顔色を変え、そそくさと走って行ってしまった。
逃げた、の間違いか。