拳から恋
──すんなりと、高架下まで追い詰められちゃった風のわたし。
目の前には悠々と越えられない高さのフェンス。
そして、わたしを追い詰めた!と慢心してるであろう奴ら。
逆におびき寄せられてることも知らずに。
「自分、見ての通り……弱いのでっ。出来れば穏便に……願えませんでしょうか」
へっぴり腰で頭を下げれば、
「ムリだわ、ゴメンねぇ」
「こんなの、秒で終わるだろ」
薄気味悪い笑みを浮かべ、拳の関節を鳴らすクラッキング音が幾つも聞こえてくる。
ここに校舎外の時のように止めてくる人はいない。
完全に拳が飛んでくる空気だ。
「ははっ、やべぇ。ワンパンで倒しちまったらゴメンねぇ──!!」