拳から恋
大月京──
人目のつかない場所をと選んだ、高架下での出来事を知っているなんて……
近くで見ていた人は誰もいなかったのに。
だとすれば──
「待って……!下さい」
わたしは大月くんを追い、回り込んで見上げた。
貴方か、と──言葉ではなく目でうったえれば、大月くんは素直に頷いた。
「流石。腕も良ければ勘も良いみたい」
「なんのために」
「まぁ、腕試しみたいなものかな。"僕たち"Sを楽しませてくれるか否か。それを見たかった。でも……君が倒した連中に誰にやられたか言うなって釘指しといたんだけど……」
"アイツ"にバレちゃった、と大月くんは口にした。
「アイツって」
「ここからはシークレット。お楽しみにしとくよ。またね」