拳から恋
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「……なんだこれ」
帰り、下駄箱の中のローファーに紙切れが入っていた。
【Aランク 昇格】
「……次はAに移動、ね」
先程のアレ──立入禁止看板前で、風間くんとお手合わせしたから。
このランク付けはSの独断。
じゃないと理由がつかないし。
こんな昇格や降格を繰り返していたら、友達どころか、馴染めやしない。
別に、いいけども。
裏には何も書いていないのか確認すれば、ドーナツ屋のクーポン券だった。
「ラッキー。まだ使えるじゃん」
この日の帰り道、警戒心を捨てずに歩いたけど、何事もなく家に着くことが出来た。
この日は。