拳から恋
「何が、ほらね?」
「っ!?……ゴホッゴホッ!」
過ぎて行ったと思った矢先に、戻ってきたのかベンチの後ろから顔を覗かせてきた。
しかもわたしがむせってる間に、ちゃっかり隣に座ってるし……
「……はぁ、何か?」
「どっかで見た顔だなぁと思って」
ジーっと見てくるから、変な汗でてきた……
「えー……あー」
「あー、あれか。底辺ランクの奴らに囲まれてたメガネ」
もうわたしのあだ名みたいに定着しつつあるな、眼鏡が。
と言うより覚えてたのか……あの時ぼーっとしてたから、って侮ったわ。
「でしょ?」
「ま、まぁ、はい」
「名前何て言うの?……あれ?どっかで見たことあるような」
──は?また同じくだり?