拳から恋




「ちょっとこっち向いてくんない?」


「うぐっ……」



両頬を手で挟まれ、無理矢理金髪くん──白鳥雅だったか。


顔を向けさせられ、睨み付けてやった。




うっわ──





睫毛ながっ!


雪のように色白な肌に、綺麗な目……



とてもヤンキー校に通っているとは思えない顔立ちなんですけど。


地味に嫉妬心がわいてくるくらい。




「……やっぱ気のせいだわ。ドーナツ1個もらうね」



パッと解放された頬を擦ってると、本当にドーナツ持ってかれた。


クーポンで安かったからいいけど。



「んじゃ、ばいばい──(ひじり)




「なっ……!」




名前聞いたくせに、知ってんじゃん!



「……なんだったの?」



< 31 / 42 >

この作品をシェア

pagetop