拳から恋
「ちょっとこっち向いてくんない?」
「うぐっ……」
両頬を手で挟まれ、無理矢理金髪くん──白鳥雅だったか。
顔を向けさせられ、睨み付けてやった。
うっわ──
睫毛ながっ!
雪のように色白な肌に、綺麗な目……
とてもヤンキー校に通っているとは思えない顔立ちなんですけど。
地味に嫉妬心がわいてくるくらい。
「……やっぱ気のせいだわ。ドーナツ1個もらうね」
パッと解放された頬を擦ってると、本当にドーナツ持ってかれた。
クーポンで安かったからいいけど。
「んじゃ、ばいばい──聖」
「なっ……!」
名前聞いたくせに、知ってんじゃん!
「……なんだったの?」