拳から恋
廊下に出てすぐ、わたしは風間くんに振り向いた。
「毎時ごとに来るのやめてくれない!?」
チャイムが鳴るとそっこうで来るから、自由時間がないのよ!
「お前が勝負してくれないからだろ?」
「それは……」
時間勿体ないし、面倒だから……
「やめてあげなよ、巽」
横から大月くんが、にこにことしながら歩いてきて、風間くんの肩に手を回した。
「なんでだよ。お前もコイツとやれば分かるぞ」
「それは今度お願いしようかな」
「そうしろ」
あまりおすすめしないで頂きたいのだけども。
「……で?花蔭さんに何回振られてるの?」
「22回だ」
「懲りないねぇ……ってことで、巽回収していくから。またね、花蔭さん」
大月くん──すごく助かるわ
そのまま連行されていく風間くんを手を振って見送る。
「おいっ待て!まだ返事聞いてないんだぞ!!」
「はいはい、23回目おめでとう」