拳から恋
「えっと……それで白鳥くんの言いたいことはなんだったの?」
もう面子が揃ってしまったんだ、逃げる必要性がなくなったから話くらいは聞いてもなんら問題はない。
だけど機嫌を損ねた白鳥くんは、
「やっぱいいや。二人の時に話したいし」
風間くんと大月くんの間を抜けて行ってしまった。
白鳥くんの背を見送るわたしたち。
「なんだったんだ?アイツ……あ!二人ってことは俺の見てないとこでやる気か……」
「全然違うと思うけど、僕はね。花蔭さんは、思い当たることあるの?」
「……いや、特には」
ドーナツを持ってかれた時も、わたしの顔を見たことがあるって二回も言うし。
よくわからない。