拳から恋
斜め上
「はぁああ!?」
風間くんの驚愕の叫びが、辺りに響く。
「他の奴と比べて小柄だし、女みたいだなぁとは思ってたけど……まさか本当にそうだとはね」
大月くんは風間くん程ではないけど、それなりに動揺はしているよう。
風間くんが頭をかきむしる中、ずっと黙っている白鳥くんに大月くんは尋ねた。
「雅、全然驚いてないけどどうして?」
「……あー」
ちらっと確認の視線がおくられ、わたしはもう頷くしかなかった。
「知ってたから。聖が女だって。おれは」
「そうなの?」
「はぁああ!?」
顔を上げて再び叫ぶ風間くん。
「だったら言えよ!教えろよ!」
「……てかさ、この状況どうすんの?おれらが休戦して、しかもワケわからん騒ぎ方してっからアイツらすげぇ見てくるんだけど?」
校舎からみていたヤンキー達を指す白鳥くんに、大月くんは息を吐いた。