Summer Love
優しく……ね。
その優しくが暴走した結果、俺が責められる犯罪を犯されてもこちら側としても迷惑なわけで。
「お返しとしてこちらも、本心をぶつけ合うのが礼儀で変える気はサラサラないです」
口苦しく言い訳を零すしか、他ならなかった。
「そう、ですか……」
愕然としている校長には悪かったが、これが俺の本性だ。
変える筋合いも、サラサラない。
好きなものは、好き。
嫌いなものは、嫌い。
興味のないものには、関心0。
自分の心に素直になる生き方が、俺には性に合っている。
それをねじ曲げられる筋合いなど、どこにあるんだろうか?
迷惑をかけていなければ、変える必要性はないはずだ。(校長にはお世話になっているかもしれないが……。優しい人で良かったとホッとしている自分がいる。そこは運が良かったのかもしれない)
「だから、これからも生徒に告白されても、厳しい対応を柔らかくすることはないです。ご了承ください」
唖然とする、告白された翌日の朝の職員室は、何処か清々しい。
だが、爽やかな風はもうやってくることはない。
ぬるま湯に浸したガーゼが、全身に張り付いているみたいな季節。
夏が近くなってきている合図で、我が高校の生徒は夏の準備で大はしゃぎ。
そこに俺自身の思わぬ転機がやってくることを、知らなった。
*