許婚はヤンデレ御曹司でした。
第四話 悩みの種と養護教諭
私は度々、保健室に行っては小山先生と話をするようになった。
睡眠が自宅ではあまり取りづらくなっていた。
おそらく保健室には盗聴器などは仕掛けられていないので、安心して眠ることができる。
その様子を見かねて、小山先生に悩みがないかと聞かれた。
「別にないですよ」
「ないのに、毎日昼休みに来ては、ここで睡眠を取りに来るだろう。いつも一緒にいる三村と伊川がお前の様子を聞きに来るんだから。何か、病気なのかって」
「病気の方がマシですよね。でも、どうして彼女たちは家柄でしか繋がりがないのにそんな私のことを気にするんでしょうね」
私が小山先生に正直な気持ちを伝えると、彼は呆れたように言った。
「お前って、案外冷血だな。あいつらはたぶん、お前のことを家柄だけで取り入っているわけじゃない。本気でお前を心配していそうだったぞ」
「冷血……初めて言われました」
「本当の姿を周りに見せてないからな。だから、婚約者もお前を必要以上に縛り付けようとしているんじゃねえの?」
「どうして、それを……?」
「あいつを見てたら、わかる。お前を見る目だけ、特別っぽいんだよな。毎日、保健室へ来ていることも把握しているし、盗聴器もしかけようとしてたから止めてやったよ。さすがに婚約者でもやっていいことと悪いことあるだろうが」
小山先生はこの学校の教師とは思えないほどまともだ。
今まで周りにいた教師は伊織くんの綺麗な部分だけを見て、彼もそのように仕向けてきた。
彼の本性を見て、奇行を止めようとする教師なんて初めて見たかもしれない。
大体の教師は彼の家の権力を恐れて、悪いことをしても見て見ぬふりをしてきた。
小山先生に悩みを打ち明けようと思い、口を開いた。
「先生。私……伊織くんに、GPSつけられてて、盗聴器も仕掛けられてたんです。私が周りに言わずにオタク友達、B組の小田くんたちと秋葉のメイドカフェにいたこともバレていて、家で何をしていても彼に監視されているんじゃないかって思うと、寝れなくて」
「そうだったのかよ……あいつ、やべぇだろ」
「それでも、彼は私を本気で愛しているんです。嫌いにはなれず、誰にも相談できなかったんです」
「それを俺に話してよかったのか?」
「先生は、いい先生だと思ったから。だから、これからもここで寝かせてください」
「いいよ、まあ俺がいないときは我慢しろよ」
小山先生は私の頭を無造作に撫でると、はにかんだように笑った。
午後の授業を受けるために教室へ戻ってくると、伊織くんは転入生の百田さんと楽しそうに話していた。
彼の愛情が百田さんに向けば、私はお役御免になる。
美形と美形が結婚する方が子供の顔も能力も高くなって、財前家にとってはいいことだらけだと思う。
「詩織様! お体、大丈夫ですか?」
三村さんと伊川さんが保健室から帰ってくると、必ずと言って体の状態を聞かれる。
先生が言うように、彼女たちはもしかしたら私と付き合っているのは家柄だけでないのかもしれない。
「最近、睡眠がとれてないの。だから、保健室で睡眠を取らせてもらっているの」
「そうだったのですね……でしたら、おすすめのハーブティーがあるので、今度お茶会いたしませんか?」
「いいですわね! それと、セラピー効果があるエステもお受けになられた方がいいですわよ」
私が悩みを口にすると、彼女たちはそれを改善するための方法や食品を紹介しようとしてくれていた。
少しだけ、誰かに心を開くのも悪くないと思った。
睡眠が自宅ではあまり取りづらくなっていた。
おそらく保健室には盗聴器などは仕掛けられていないので、安心して眠ることができる。
その様子を見かねて、小山先生に悩みがないかと聞かれた。
「別にないですよ」
「ないのに、毎日昼休みに来ては、ここで睡眠を取りに来るだろう。いつも一緒にいる三村と伊川がお前の様子を聞きに来るんだから。何か、病気なのかって」
「病気の方がマシですよね。でも、どうして彼女たちは家柄でしか繋がりがないのにそんな私のことを気にするんでしょうね」
私が小山先生に正直な気持ちを伝えると、彼は呆れたように言った。
「お前って、案外冷血だな。あいつらはたぶん、お前のことを家柄だけで取り入っているわけじゃない。本気でお前を心配していそうだったぞ」
「冷血……初めて言われました」
「本当の姿を周りに見せてないからな。だから、婚約者もお前を必要以上に縛り付けようとしているんじゃねえの?」
「どうして、それを……?」
「あいつを見てたら、わかる。お前を見る目だけ、特別っぽいんだよな。毎日、保健室へ来ていることも把握しているし、盗聴器もしかけようとしてたから止めてやったよ。さすがに婚約者でもやっていいことと悪いことあるだろうが」
小山先生はこの学校の教師とは思えないほどまともだ。
今まで周りにいた教師は伊織くんの綺麗な部分だけを見て、彼もそのように仕向けてきた。
彼の本性を見て、奇行を止めようとする教師なんて初めて見たかもしれない。
大体の教師は彼の家の権力を恐れて、悪いことをしても見て見ぬふりをしてきた。
小山先生に悩みを打ち明けようと思い、口を開いた。
「先生。私……伊織くんに、GPSつけられてて、盗聴器も仕掛けられてたんです。私が周りに言わずにオタク友達、B組の小田くんたちと秋葉のメイドカフェにいたこともバレていて、家で何をしていても彼に監視されているんじゃないかって思うと、寝れなくて」
「そうだったのかよ……あいつ、やべぇだろ」
「それでも、彼は私を本気で愛しているんです。嫌いにはなれず、誰にも相談できなかったんです」
「それを俺に話してよかったのか?」
「先生は、いい先生だと思ったから。だから、これからもここで寝かせてください」
「いいよ、まあ俺がいないときは我慢しろよ」
小山先生は私の頭を無造作に撫でると、はにかんだように笑った。
午後の授業を受けるために教室へ戻ってくると、伊織くんは転入生の百田さんと楽しそうに話していた。
彼の愛情が百田さんに向けば、私はお役御免になる。
美形と美形が結婚する方が子供の顔も能力も高くなって、財前家にとってはいいことだらけだと思う。
「詩織様! お体、大丈夫ですか?」
三村さんと伊川さんが保健室から帰ってくると、必ずと言って体の状態を聞かれる。
先生が言うように、彼女たちはもしかしたら私と付き合っているのは家柄だけでないのかもしれない。
「最近、睡眠がとれてないの。だから、保健室で睡眠を取らせてもらっているの」
「そうだったのですね……でしたら、おすすめのハーブティーがあるので、今度お茶会いたしませんか?」
「いいですわね! それと、セラピー効果があるエステもお受けになられた方がいいですわよ」
私が悩みを口にすると、彼女たちはそれを改善するための方法や食品を紹介しようとしてくれていた。
少しだけ、誰かに心を開くのも悪くないと思った。