元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
ルイを追って冷たい雨で凍えそうになる中、只管に車のいった方を追いかけた時に感じた絶望に近い。
私の中で陛下への未練が一切なくなった。
「スレラリ草を長期に摂取したことで亡くなった皇族の方がいるのはご存知かしら? クレアは毒を摂取したこともないのね。勝手にスレラリ草を弱毒性と決めつけているけれど、私の体に合わなければ1度の摂取でも死んでいたのかもしれないのよ」
耐性をつけるために、毒を飲み続けさせられた私にだから分かる。
痺れを起こす弱毒性の毒をほんの少し摂取させられた時、私の体は過剰反応を起こし痙攣状態に陥り死にかけた。
人には体質というものがあり、相性の悪い毒だと弱いと言われるものでも猛威をふるう。
スレラリ草はバラルデール帝国では女を不妊にさせる薬としてよく使われるものだ。
きっとカイザー皇子の母親も死に至るとは思わず、タルシア・バラルデール皇后に盛ってしまっていたのだろう。
「クレア、無駄だからもう諦めろ。この女⋯⋯皇妃殿下はお前に弁明を求めていない」