元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。

21.脳が完全に溶けたか⋯⋯。(アレキサンダー視点)

プルメル公爵一族の処刑を済ませて、モニカの部屋に急いだ。

 彼女の部屋のクローゼットを開けても、ドレスも綺麗に揃っている。
(まだ、皇宮内にいるのか?)

 「モニカの髪だ⋯⋯」
 床に落ちているプラチナブロンドの髪は彼女のものだ。 
 初めて彼女に会った時、この髪がキラキラと舞っていて妖精のようだと思った。

 モニカが何を考えているかは、俺には全く分からない。
 それでも、俺が彼女に母タルシア・バラルデールを死に追いやった毒を盛っていたのは事実だ。

 離縁を言い渡されるとは思っても見なかった。
 俺はバラルデール帝国の皇帝で、女は皆、俺と縁を結びたがった。
 
 最初会った時のモニカは、俺をただの男として愛してくれるような錯覚をさせた。
 彼女は俺にしがみついて、もっと抱いて欲しいとせがんだ。

 明らかに彼女の目には俺への好意が見られたし、まるで子犬のように人懐こい女に見えた。
 
 彼女の身も心も自分のものになったと思っていたのが錯覚で、騙されたと苛立ち彼女を攻撃。

 明らかに彼女の心が俺から離れるのがわかって、ムカついて傷つけようとしたら返り討ちにあった。
 
 彼女が現れてから、長年俺を悩ませてきたレイモンド・プルメル公爵まで失脚。

 ほんの1ヶ月の話だ。
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