元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
22.やはり、彼女は普通の女とは全く違う。(アレキサンダー視点)
皇妃の部屋には、ベッドの下に隠し通路がある。
皇宮中の騎士にモニカを探させているが、隠し通路を使われて皇城外に出られたら目も当てられない。
ベッドの下を覗くと、なぜか絨毯に切れ込みが入っていた。
(教えてないのに、ここの隠し扉に気がつくか?)
やはり、彼女は普通の女とは全く違う。
天使のように可愛く、人の心を惑わす悪女で、いつも俺の想像を超えていく。
隠し扉の位置に気が付いただけでなく、ベッドを動かさずに中に入り込んだという事だ。
そういえば、彼女は折れそうなくらい華奢な体をしていた。
彼女との初めての夜を思い出すと、今でも体が熱くなってしまう。
(ダメだ⋯⋯もう皇帝である前に、モニカ愛するだけの男になってしまおう⋯⋯)
俺はそう決意し、馬に跨り隠し通路の出口の方に回った。
実は出口の方は鍵がないと出られなくなっている。
その鍵は皇家に代々伝わる、バラルの指輪だ。
俺は彼女にその指輪を渡していない。
(出られないぞ、どうするんだモニカ!)