元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
俺はモニカが散々歩いた上に外に出られないと可哀想だと思い、出口を壊して隠し通路に入った。
(もう、この隠し通路は閉鎖しないとな⋯⋯)
隠し通路を逆流して走っているとモニカのプラチナブロンドの輝く髪が見えて、俺は思いっきり彼女を抱きしめた。
(ずっとこうしたかった。愛しているモニカ⋯⋯心から)
子供が欲しかったと泣きそうな声で目を潤ませる彼女に申し訳なくなり胸が苦しくなった。。
スレラリ草の成分をモニカが摂取してしまったのは、確認したら2回だった。
そのような微々たる回数であれば、子作りに勤しめばおそらく問題ない。
俺が毎晩彼女を抱くと宣言すると、なぜか拒否された。
(本当に俺のことが好きじゃないのか⋯⋯散々人の気を引いといて酷い残酷な女だ⋯⋯)
モニカの部屋に戻り明るいところに来ると、彼女の髪が短くなっているのを再確認させられた。
腰まで届いていた美しい髪をバッサリと切ったのは、彼女が本当に身分を捨て俺から逃げようとしたということを思い知らされる。
「専属メイドのルミナはどうしたんだ?」
「マルテキーズ王国に返しました⋯⋯」
モニカがマルテキーズ王国から連れてきた専属メイドだ。
新しいメイドを彼女につけようにも、皇宮で信用できるメイドがおらず誰を指名して良いか考え込んだ。
「新しいメイドはいりません。また、毒を盛られても困りますし⋯⋯陛下はただ私と離縁してください」