元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
私は一気に城門を抜けようと一歩を踏み出した所で、後ろから思いっきり強く抱きすくめられた。
アレキサンダー皇帝の爽やかな香りを感じて心臓が一瞬止まる。
「寒いんだろ⋯⋯俺が強く抱きしめてやるよ」
明らかに陛下の声が怒っている。
(いつから? つけられてた? 全く気が付かなかった⋯⋯)
急に抱き上げられて、私は慌てた。
「おろしてください」
「靴を履いていたら、下ろしてやったかもしれないな」
陛下が睨みつけてきたが、私は目を逸らした。
「待ってください。どこに行くのですか?」
「魔性の悪女に惑わされるような使えない騎士ばかりだから、俺が君を見張る事にした」
陛下は私を自分の寝室のベッドの上に下ろした。