元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
俺は自分の願望だけを伝えて、彼女に口づけをした。
彼女が誰を好きだとか、本当は俺の敵だとかどうでも良い。
ただ、一緒にずっといたくて、彼女の笑顔がまた見たいだけだ。
「一生ですか? 本当にずっと私と一緒にいたいと思っているのですか?」
「だから、そう言ってる⋯⋯モニカ、君を心から愛している」
モニカがゆっくり目を開ける。
本当に無垢な色をした瞳だ。
俺は彼女の瞳が幸せそうに輝いていた瞬間を知っている。
彼女はもっと明らかに好意的な目で俺を見ていてくれていた。
今は、俺を見ると呆れたように直ぐに目を逸す。
「一時的にそう思っているだけで、陛下は私を愛してなどいませんよ」
「どうして、そう思うんだ⋯⋯」
感じたことのないような強い感情で彼女を求めているのに、彼女は全く俺の気持ちを信じない。
確かに、彼女に酷い事ばかりしてきた自覚はある。
本当は最初から彼女に惹かれていて、その気持ちは日に日に溢れて今抑えきれなくなったと言っても信じてもらえないだろう。
俺自身初めての感情で全くどう扱って良いか分からなかった。
「先程の政務会議でも、私が侮辱されているのに陛下は庇ってもくれませんでした⋯⋯」
俺は全く何のことを言われているか分からなくて、ひとまず黙った。
政務会議では予想外に攻撃的で口が回るモニカに気を取られた。
彼女がどの瞬間侮辱をされたと感じたのかが分からない。
もしかしたら侮辱をされたと感じて、攻撃的になったのかもしれない。
(実は結構繊細で傷つきやすいのか?)
「すまなかった。そうだ、モニカ、結婚式をしないか?」