元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。

28.モモと呼んでください。

 陛下が犬のモモだった私を肯定してくれたようで嬉しくなった。

「本当にお花が綺麗てすね。紫陽花、桔梗、ブーゲンビリアにサルビア⋯⋯陛下はどのお花が好きですか?」

 「俺が好きなのはモニカだ。君は本当に花が好きなんだな」
 どの花が好きか聞いたのに、私が好きだと返してくる陛下ははなに興味がなさそうだ。

 花が好きになったのはルイのお母さんがきっかけだ。
 私を捨てた方だけれど、ルイの事を心から愛してたのが犬の私から見てもわかった。
 悪いおじさんに噛みついた私をルイの安全の為にも遠ざけなければいけないと思ったのだろう。

「陛下⋯⋯ミレーゼ子爵だけでなく、スラーデン伯爵の尻尾を掴まねばなりません。武器の横流しに関しても絡んでるかと思います。伯爵に接触してみようと思います⋯⋯」
「ダメだ⋯⋯他の男に近づかないでくれ。スラーデン伯爵については俺が探るから」
 陛下にまだ信用されてない気がした。
 私は彼がずっと一緒にいたいと言った以上、主人となる彼に尽くそうと思っていた。

「分かりました⋯⋯あっ! カイザー! お庭にいたのですね」
私はカイザーがいたので駆け寄った。
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