元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
「濡れたままじゃ、風邪ひくだろう。モモの為に何かしたいと思っているだけだ。もう、君の嫌がることは絶対しないと誓うよ」
アレクの声が震えていて、私は彼にされるがままに新しい寝巻きに着替えさせられた。
というより、異様に体がだるい。
母に鍛えてもらったこともあり、体は丈夫だと思ったのに可笑しい。
「モモ、震えている⋯⋯」
そう言ったアレクの声の方が震えている気がした。
彼が自分の着ていたカーキー色のガウンを着せてくれる。
彼の温もりと爽やかな香りを感じてホッとした。
ベッドに寝かしつけられ、隣にアレクが寝っ転がり抱きしめられる。
「あの⋯⋯熱があるかもしれないので、一緒にいない方が良いと思うのですが」
アレクは私の言葉に呼び鈴を鳴らして、メイドに皇宮医を呼ぶように伝えていた。
頭がボーッとして上手く働かない。
髪の毛をちゃんと乾かさないだけで、風邪をひいたりするものなのだろうか。
「皇妃殿下、失礼致します」
皇宮医のが来て私の体を診ている。
隣でアレクが心配そうに私を見つめているのが分かった。