元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。

30.マリリンは処刑したじゃないですか⋯⋯。

 「アレク、起きてください! 重いです」

 私の昨日の高熱の原因はスレラリ草の毒だったらしい。
もう、子が望めないと皇宮医が言っているのを聞いて泣いてしまった。
アレクは私を抱きしめて寝てしまったようだが、非常に重い。

「モモ、熱は下がったのか」
 起きるなり、私の額に手を当ててくる彼は心底私を心配しているようだ。

「はい⋯⋯それから、アレクが私に申し訳ないと思う必要はないです。毒を盛られる可能性に気がつけなかった私に落ち度があるのですから」

 私はランサルト・マルテキーズの娘で、私に子が産まれたら自分にとって危険だと感じ毒を盛るのは想像できた。
 普段の私だったら予想できる事が、犬の記憶が蘇ったことで主人に対する疑念より忠誠の心が勝っただけだ。
 
「そんなこと言わないでくれ! 俺が毒については絶対に何とかするから」
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