元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
私の言葉になぜかアレクは肩を落としている。
建国祭の準備はマルキテーズ王国では王妃の仕事だった。
「モモ⋯⋯2人の時は仕事の話は辞めないか?」
「⋯⋯はい⋯⋯」
アレクは自分が急に私に対する態度を変えて、私が戸惑っていることなど気にしていなそうだ。
ジョージやカイザーとは無駄な雑談ができても、アレクとは何を話して良いか分からない。
(仕事の話をやめろと言われても、何を話せば⋯⋯)
「それに、建国祭ならマリリンに任せておけば良い」
「マリリンは処刑したじゃないですか⋯⋯」
「マリリンの事は助けなかったのか? 俺はてっきり友人を助ける君は、マリリンも助けたものかと⋯⋯」
アレクは何を言っているのだろう。
一緒にお茶をしたから、私が彼女と交流を持ったとでも思っているのだろうか。
代わりの死体はガタイの良いクレア1体だと伝えたはずだ。
(そもそも、反逆者一族なんだから建国祭の準備ができる訳なんじゃない⋯⋯)
私は社交が得意ではない。
同年代の女の子たちとまともに関係が築けた試しがない。
そのような相談をジョージにはできたのに、アレクには幻滅されそうでできない。
「私が助けたのはジョージだけです。これまではマリリンが建国祭の準備をしていたのですね⋯⋯」