元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
「モニカ・マルテキーズ皇妃殿下に、リアナ・エンダールがお目にかかります」
「エンダール伯爵の娘さん。どうぞ、入って」
私の言葉に緊張しながら部屋に入ってくる彼女をみて、私の警戒心はとけていった。
「皇妃殿下、しょ、処刑されてしまったジョ、ジョージ・プ、プルメル公子よりお手紙を預かってきました⋯⋯」
泣き出すリアナ嬢はジョージが本当に死んだと思っているのだろう。
明らかに手が震えていて、今、遺言を私に託すとばかりに手紙を渡してくる。
「とにかく、そこに座ってくれる?」
リアナ嬢は嗚咽を耐えながらソファーに座った。
手紙の封を開けて私は思わずため息をついた。
(ジョージ⋯⋯この手紙の危険性に気がつけないの?)
ジョージは私の悩みを解決しようと、私と友人になれそうな令嬢を探してくれていたようだ。
マリリンとは関係がない私の助けになってくれそうな、令嬢や夫人たちがリストアップしてある。
プルメル一族の処刑の後に建国祭があって、私が準備をしなくてはいけない事を心配してくれていたようだ。
リアナ嬢はジョージとアカデミー時代の同期だったらしい。
彼女は見るからに貴族世界で揉まれてきたとは思えない純粋そうな女の子だ。
ジョージがこのような子を紹介してきてくるということは、彼の中での私は優しく純粋な女の子なんだろう。
(そんな風に生きられたら、どんなに良かったか⋯⋯)
「こ、皇妃殿下が異国より嫁がれて苦労されるだろうと⋯⋯殿下の手となり、足となり助けになりたいと恐縮ながら考えております。私も含め、プルメル公子にお世話になった皆があなた様の力になりたいと願っております⋯⋯」